食物経口負荷試験

食物経口負荷試験とは

食物経口負荷試験とは食物経口負荷試験とは、アレルギーの疑いがある食品を実際に摂取して、症状を観察する検査です。目や皮膚の赤み・発疹・かゆみなどの皮膚症状や、喘鳴・息苦しさといった呼吸器症状、腹痛や嘔吐などの腹部症状などが、摂取により出現してくるか観察します。
摂取後は最低2時間程度、症状がでないかを院内で観察し、問題がなければ帰宅が可能です。
万一アレルギー症状が出た場合には、速やかに適切な処置・治療を行います。

検査の目的

  1. 食物アレルギーの診断 (除去を必要最小限にとどめるための確認)
    →アレルギーの疑いがある食物の摂取によって、症状が現れるかを確認します。
    症状がでなければ、除去を解除したり、除去の程度を緩めることができます。
  2. 食物アレルギーが治癒したかどうかの確認 (耐性獲得)
    →これまで除去していた食物を食べられるようになっているか、どれくらいの量を食べられるかを確認します。

食物アレルギーの治療にあたっては、「正しい診断を行い、原因食物の除去を必要最小限にとどめる」ことが原則となります。原因となる食物を全て除去するのではなく、原因となる食物を早期から可能な限り少しずつでも摂取し続けることが、食物アレルギーの予後を改善することがわかっています。また、必要以上の食物の除去によって、かえって十分な成長や発達、日常生活にも悪影響を及ぼす可能性があるため、除去の判断は慎重に行わなければなりません。


食物経口負荷試験の手順

  1. 検査予定日を決めます。
  2. 当日は、ご自宅から該当食品をご持参ください。
  3. オリエンテーションと担当医による診察を行い、実際に原因となる食品を摂取して頂きます。
  4. 実施要領を順守して、負荷試験を始めます。お昼ごろには検査が終了します。
  5. 検査中にアレルギー症状が現れた場合には、気管支拡張薬の吸入、抗ヒスタミン薬などの内服 、点滴、注射などの適切な処置を実施し、症状が落ち着くまで慎重に経過を観察します。

なお、より専門的な治療が必要となる場合は、大学病院などをご紹介することもあります。

出現する可能性がある症状

出現する可能性がある症状

  • 皮膚・・・かゆみ、蕁麻疹、紅斑
  • 眼・・・かゆみ、赤くなる、瞼の腫れ
  • 口の中、喉、鼻・・・のどのかゆみ、違和感(イガイガした感じ)、くしゃみ、鼻水、鼻づまり
  • 呼吸器の症状・・・軽度の咳、犬の遠吠えのような咳、激しい咳が継続する、声のかすれ、ゼーゼーと苦しそうな呼吸、呼吸のしづらさ、胸やのどが締め付けられる感じ
  • 消化器症状・・・腹痛、嘔吐、下痢
  • 全身の症状・・・意識が朦朧とする、ぐったりしている、失禁、脈が不規則・触れにくい、爪や唇が青白い

*検査中に少しでも違和感がありましたら、速やかにお知らせください。

連携医療機関への紹介・入院について

下記のような場合は、連携医療機関に紹介・入院をお願いすることがあります。

  1. 蕁麻疹や紅斑が広い範囲で現れ、アレルギー症状が進行する可能性がある
  2. 重度の咳、ヒューヒュー・ゼイゼイした呼吸が治まらない
  3. 息苦しさ、声かれ、血圧低下が長時間治まらない
  4. 腹痛、下痢、嘔吐が繰り返し起こる
  5. 医師の判断で必要性が認められる場合

当日の注意点

  1. 当日ご持参頂きたいもの。

    ・負荷試験で摂取する食品 (事前に調理・持参法をお伝えします)
    ・お気に入りのおもちゃや本 (検査中に時間を潰すため)
    ・着替え (汚れてしまうことがあるため)
    ・症状が現れた時に備えて事前に処方している内服薬

  2. できるだけ当日の朝食はお控えください。
  3. 検査当日は、8:45〜9:00の間に当院へご来院ください。9:00までにご来院頂けない場合は試験をキャンセルさせて頂くこともございますので、ご了承ください。時間に間に合いそうにない場合は、当院までお電話ください。
  4. 内服しているお薬について
    負荷試験の結果に影響を及ぼす可能性のある内服薬は一定期間中止が必要です。
    事前にお伝えします。
    軟膏、吸入薬、点鼻薬、点眼薬などの外用薬については使用して頂いて構いません。

よくある質問

負荷試験で実際に摂取する食物は病院側で準備してもらえますか?

申し訳ございませんが、ご家族の方でご準備をお願いいたします。調理方法や量については事前にご案内させていただきます。

負荷試験の前に使ってはいけないお薬はありますか?

抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬などの内服薬の使用は一定期間中止する必要があります。また、市販のお薬には試験結果に影響を及ぼす成分(フマル酸ケトチフェン・マレイン酸クロルフェニラミン・塩酸ジフェンヒドラミンなど)が含まれているものもありますので、注意が必要です。なお、軟膏、吸入薬、点鼻薬、点眼薬などの外用薬については使用して頂いて構いません。判断が難しい場合ご相談ください。

抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の使用はいつから控えた方が良いですか?

抗アレルギー薬は前日、抗ヒスタミン薬は3日前から使用をお控えください。なお、ステロイド薬は14日前から内服しないようにしてください。事前にご案内いたします。

鼻水や咳の症状があっても負荷試験は行えますか?

試験を行う前に医師が最終判断を行いますので、試験当日に発熱がなければご来院頂ければと思います。判断が難しい場合は、お気軽にご連絡ください。

負荷試験中にいつも食べているお菓子などは摂取しても良いでしょうか?

アレルギー症状が現れた時に原因が特定できなくなるため、お控え頂いています。

1度の検査で複数の食品を同時に調べられますか?

どの食品が原因なのか特定が難しいため、1つずつ検査していきます。

負荷試験で摂取した食品で症状は出なかった場合、すぐに摂取できるようになりますか?

負荷試験で摂取した量を上限として、ご自宅で継続的に摂取して頂きます。次回のご来院までに何度か摂取して特に異常がなければ、試験結果は陰性と判断し、今後もその摂取量まで摂取して頂けるようになります。

負荷試験で摂取できた食品を給食ですぐに摂取しても問題ないですか?

摂取できるのはあくまで試験で摂取した量までですが、その摂取量が給食の1食分程度の量であれば、問題ありません。なお、感染症などによる体調不良や運動によってアレルギー症状が現れることもあるため注意が必要です。

負荷試験の前後で予防接種を受けても良いでしょうか?

検査当日でなければ問題ありません。当日に予防接種を受けることは、症状が出た際の原因が負荷試験なのか予防接種なのか特定しづらくなるため、お控えください。

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